ArduinoとRaspberry Pi、何が違う?
電子工作を始めようとしたとき、「ArduinoとRaspberry Pi、どちらを買えばいいか」という疑問は多くの初心者が最初にぶつかる壁です。ネットで調べると両方が推薦されていて、どちらを選べばよいか余計に迷うことも。
一言で違いを表すなら、ArduinoはOpen Hardware の「専用マイコンボード」、Raspberry Piは「超小型コンピュータ」です。ラジカセとパソコンくらいの違いがあると考えるとわかりやすいかもしれません。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
Arduinoの特徴
マイコンボード:「物理制御の専門家」
Arduinoはマイコン(マイクロコントローラー)を搭載したボードです。マイコンはセンサーからデータを読み取ったり、LEDやモーターなど外部の機器を制御したりする「物理的な制御」を専門とするチップです。
Arduinoが得意なこと:
- センサー(温度・距離・光など)の読み取り
- LED・モーター・サーボの制御
- ボタン・スイッチ入力の検知
- PWM(パルス幅変調)による精密な出力制御
- リアルタイム処理(センサー変化に即座に反応)
Arduinoの制限:
- OSが動かない(Windowsのようなソフトは使えない)
- カメラや高解像度ディスプレイは扱えない
- 複雑な計算・AI処理は苦手
- インターネット接続は別途モジュールが必要(R4 WiFiを除く)
現在の最新モデルはArduino Uno R4 WiFiで、WiFiとBluetooth内蔵。価格は¥3,500前後です。センサー制御に挑戦したい初心者に最適な入門ボードです。パーツ辞典のArduinoページで詳しいスペックを確認できます。
Arduinoのプログラミング
Arduino IDEという専用の無料ソフトでプログラムを作ります。言語はC言語ベースですが、複雑な部分が隠蔽されており、初心者でも扱いやすい設計になっています。LEDを点滅させる「Lチカ」のコードはたった10行以内で書けます。
void setup() {
pinMode(13, OUTPUT);
}
void loop() {
digitalWrite(13, HIGH);
delay(1000);
digitalWrite(13, LOW);
delay(1000);
}
サンプルコードも豊富で、「ファイル → スケッチ例」から数十種類の動作確認済みサンプルをすぐに試せます。
Raspberry Piの特徴
シングルボードコンピュータ:「超小型Linux PC」
Raspberry Piはパソコンと同じようにLinux OSが動くコンピュータです。キーボード・マウス・ディスプレイをつなげばWebブラウジングもできます。センサー制御はもちろん、AI推論・画像認識・Webサーバー構築など高度な処理も得意です。
Raspberry Piが得意なこと:
- Pythonなどでのプログラミング学習
- カメラモジュールを使った画像・動画処理
- AIモデルの実行(TensorFlow Lite等)
- WebアプリやAPIサーバーの構築
- 高解像度ディスプレイへの表示
- LinuxコマンドとOSの学習
Raspberry Piの制限:
- アナログ入力ピンがない(センサーは別途ADC変換が必要な場合も)
- リアルタイム性が低い(OSのタスク管理が介在するため)
- 初期設定にある程度の知識が必要
- Arduinoより高価(¥9,800〜)
現行の最新モデルはRaspberry Pi 5(4GB/8GB RAM)で、処理性能はRaspberry Pi 4の約2倍。価格は4GBモデルで¥9,800前後です。パーツ辞典のRaspberry Piページで詳細を確認できます。
Raspberry Piのプログラミング
Pythonが主流ですが、C言語・Node.js・Rubyなど多様な言語で開発できます。Linuxのコマンドライン操作に慣れる必要がありますが、その経験はプログラマーとしてのスキルにそのままなります。
用途別おすすめ比較
| 用途 | Arduino | Raspberry Pi |
|---|---|---|
| LEDやモーターの制御 | ◎ 最適 | ○ 可能 |
| 温湿度・距離センサー | ◎ 最適 | ○ 可能 |
| リアルタイム制御 | ◎ 得意 | △ 苦手 |
| Pythonプログラミング学習 | △ 不向き | ◎ 最適 |
| 画像認識・AIカメラ | × 不可 | ◎ 最適 |
| Webサーバー構築 | × 不可 | ◎ 最適 |
| 予算重視 | ◎ ¥3,500〜 | △ ¥9,800〜 |
| 初期設定の手軽さ | ◎ 簡単 | △ 要設定 |
初心者への推奨:最初の1台はArduino
電子工作の入門として最初の1台を選ぶなら、Arduino Uno R4 WiFiをおすすめします。
理由は3つあります:
- コストが低い:¥3,500前後で始められる
- セットアップが簡単:USBをつないでIDEをインストールするだけで動く
- フィジカルコンピューティングに集中できる:センサーやモーターの制御に特化しているため、「物理的に何かを動かす」体験をシンプルに得られる
Raspberry Piは、Linux OSの管理やPythonプログラミングを本格的に学びたい、カメラや高度な処理を使いたいというステップに進んだ段階で選ぶのが効果的です。
ただし、以下のような場合はRaspberry Piを最初に選ぶのもアリです:
- Pythonを使ったプログラミング学習が主目的
- AIカメラやコンピュータビジョンに最初から挑戦したい
- ミニPCとして活用したい
それぞれの代表的なプロジェクト例
Arduinoで作れるもの
- 温湿度計:DHT22センサー+OLEDで室内環境を表示
- 自動水やり機:土壌センサー+ポンプで植物を自動管理
- LEDイルミネーション:WS2812B NeoPixelで光るオブジェクトを制作
- ロボットカー:超音波センサーで障害物回避する自律走行車
- リズムマシン:ブザーとボタンで音楽演奏デバイス
Raspberry Piで作れるもの
- AIカメラ:カメラモジュール+TensorFlow Liteで顔認識・物体検出
- ホームサーバー:Webアプリでスマホから家電を制御
- デジタルフォトフレーム:ディスプレイに写真をスライドショー表示
- Webスクレイピングロボット:Python自動化スクリプト
- ゲームエミュレーター:RetroPieで懐かしのゲームを遊ぶ
Raspberry Piを使ったAIカメラプロジェクトの詳細はAI×電子工作入門記事で解説しています。
まとめ
- Arduino:センサー・モーター・LED制御に特化したマイコンボード。リアルタイム制御が得意で、初心者の最初の1台に最適(¥3,500〜)
- Raspberry Pi:Linux OSが動く超小型コンピュータ。AI・カメラ・Webサーバーなど高度な処理が得意(¥9,800〜)
- 最初の1台:物理制御に挑戦したいならArduino。Pythonとプログラミングを本格的に学びたいならRaspberry Pi
どちらもパーツ辞典で購入ガイドと詳細スペックを確認できます。また、ESP32も加えた3ボード比較はArduino vs Raspberry Pi vs ESP32の比較記事も参考にしてください。
よくある質問
Q. ArduinoとRaspberry Piはどちらが初心者向けですか?
「物理的な制御(センサー・モーター)」に挑戦したい初心者にはArduinoが最適です。プログラミングやLinux操作も学びたい、カメラやディスプレイを使いたいという場合はRaspberry Piが向いています。
Q. Arduinoでできることは何ですか?
センサーでデータを読み取る、LEDやモーターを制御する、ボタン入力に反応するといった「物理的な制御」が得意です。温湿度計、自動水やり機、ロボットカーなどに適しています。
Q. Raspberry Piはプログラミング初心者でも使えますか?
LinuxベースのOSが動くため、PCに近い感覚で使えますが、初期設定にある程度の知識が必要です。Python入門としての使い方や、AIカメラなどの高度な処理には適しています。
Q. ArduinoとRaspberry Piを一緒に使う方法はありますか?
はい、実際のプロジェクトでは両者を組み合わせるケースもあります。センサー・モーター制御をArduinoが担当し、データ処理・通信・表示をRaspberry Piが担当するという役割分担が典型的です。